精子提供体験談┃りんさん31歳・同性カップル

精子提供体験談┃りんさん31歳・同性カップル

諦めたはずの夢

都内で働く30代の私には、最愛のパートナー(女性)がいます。私たちは共に生きると誓い、その決意に一片の迷いもありませんでした。彼女との未来は明るい。ただ一つ、心の奥底に封じ込めた夢を除いては・・・。

それは、自分の子供を持つという夢。

同性カップルである以上、それは叶わない願いだと、私は自らに言い聞かせてきました。養子縁組も考えましたが、現状の制度や社会の壁を前に、「私のわがまま」でパートナーに苦労をかけたくないという思いが勝り、諦めることを選びました。

頭の何処かで、子供を持つという可能性に蓋をして、彼女との幸せだけを見ようと努めていたのです。

パートナーの問いと涙の理由

ある夜、パートナーが突然言いました。

「本当は子供がほしいんじゃないの?」

子供を目で追う私を見てそう感じたそうです。

その瞬間、私は動揺を抑えきれず、堰を切ったように涙があふれました。その夢は、彼女の幸せのために私が一人で勝手に押し殺していたものだったからです。弱さを見せたら、彼女に「無理をさせている」と気づかせてしまう。その罪悪感から、必死で隠していました。

泣き崩れる私を、彼女は強く抱きしめ、「ごめんね、気づいてあげられなくて。もう諦めなくていいよ。一緒に探そう、私たちにできる方法を」と言ってくれました。

その言葉は、絶望の淵にいた私にとって、光でした。

失敗と希望への一歩

私たちはすぐに「精子提供」という選択肢にたどり着きました。しかし、そこからの道のりは平坦ではありません。情報収集の難しさ、倫理的な葛藤、そして女性同士のカップルでは病院で精子提供を受けられないなど数々のハードル。

「本当にこれでいいのか」と、不安で心が折れそうになった日もありました。「精子提供」でSNSやホームページを検索し、ドナーの男性に会ってみるたものの怪しい人ばかりでウンザリ。そのたびに「やっぱり私たちには無理なのか」というネガティブな感情に引き戻されました。

でも、私たちは二人で支え合いました。この経験は、単に子供を授かるための過程ではなく、私たちが夫婦として、親として、困難を乗り越える力を確かめ合う時間になったと感じています。

失敗するたびに、彼女と私の絆はより強固なものになっていったのです。

新たなスタート

10人以上会ったドナーの中から、サズカリにお願いすることにしました。血液型、身長、二重など、どれをとっても申し分なかったのと、誠実な対応が決め手でした。

そして、数ヶ月の挑戦の後、待ち望んだ陽性反応。二人で抱き合い、言葉にならない喜びと、これまでの苦労が報われた安堵から、ただただ泣きました。

出産を終え、この小さな命を初めて抱きしめた時、私の中にあった諦めや絶望は、「希望」へと変わりました。この子は多くの善意、そして私たちが共に乗り越えてきた時間の結晶です。私たち二人の、間違いなく大切な子供です。

悩んでいる方へ

もし今、私たちと同じように、家族の形や子供を持つことを諦めかけているなら、伝えたいことがあります。夢を、どうか捨てないでください。

愛の形も家族の形も、一つである必要はありません。血の繋がりを超えたつながりで、私たちは新しい家族を築くことができました。精子提供は、賛否両論あることは事実です。一方で、願いを叶える選択肢でもありす。一歩踏み出す勇気さえあれば、必ず道は開けます。