精子提供体験談┃ゆかりさん37歳

精子提供体験談┃ゆかりさん37歳

35歳で気付いた心の穴

仕事は順調、経済的にも自立していました。男性に興味がなく、恋愛や結婚という形に全く魅力を感じていなかった私にとって、「一人で生きていく」ことは自然な選択でした。

しかし、35歳を過ぎた頃、心にぽっかりと穴が開いたような気がしたのです。このまま人生を終えるとして、私には何が残るのだろう?

仕事での達成感はありましたが、ふとした瞬間に感じる孤独と、自分には何の「家族」もないという事実に愕然としました。漠然とした不安が、「家族がほしい」という強い、隠しきれない願望へと変わっていきました。

誰にも言えない焦りと絶望

自分の気持ちに気づいたとき、同時に焦りが押し寄せました。世間ではもう「高齢出産」と呼ばれる年齢に差し掛かっている。今から相手を探す時間はない。かといって、恋愛や結婚が目的ではない・・・。

この個人的で複雑な思いを、親にも、友達にも、同僚にも、誰にも相談できませんでした。「なぜ結婚しないの?」という無邪気な問いかけすら、私には重荷でした。

出口が見えない絶望のトンネルにいるようでした。「私の人生はもう手遅れなのか」と、暗い気持ちに沈み込んでいました。

精子提供という選択肢

そんな中、インターネットで偶然知ったのが「精子提供」という怪しい言葉。

パートナーがいなくても、自分の意志と力で子どもを授かることができる。それは、私にとって、閉ざされていた生き方に差し込んだ、唯一かつ最適な光でした。

「これしかない」

迷いは一瞬で消え去り、心の中で強い決意が固まりました。孤独な絶望から一転、希望に向かって行動を起こすエネルギーが全身を駆け巡ったのです。不安よりも、「家族を持つ」という未来への希望が圧倒的に勝っていました。

あっという間に訪れた宝物

行動は早かったです。クリニックで診察を受け、自然妊娠が可能なことを確認。偶然、ヒットしたサズカリのホームページを隅から隅まで読んで納得し、排卵日が近かった翌週には精子提供。幸運にもあっという間に妊娠することができました。

そして、わが子をこの腕に抱いた瞬間、これまでの全ての絶望や焦燥は、まるで幻のように消え去りました。

この子は、私が人生で初めて、誰にも依存せず、自分の力で選び、手に入れた、かけがえのない宝物です。息子がいない空間・時間はもう想像できません。

現在は、二人目の妊娠・出産に向けて再度精子提供を受けている最中です。

悩む方へ

過去の私と同じように、誰にも言えず、どうすればいいのか分からずに悩んでいるなら、伝えたいことがあります。

諦めないでください。 恋愛や結婚だけが、家族を持つ道ではありません。私のように、男性に興味がない人でも、パートナーシップに縛られたくない人でも、自分の望む形で家族を築くことはできます。

精子提供は、人生を前向きに変えることができる可能性のある道です。もし全ての責任を背負う覚悟があるなら、世間の常識や周囲の目に惑わされず、「勇気」を持って踏み出してください。